ストリーマ研究所 空気のマメ知識
夏風邪は特効薬がないって本当?
対策として知っておきたいウイルスと空気の意外な関係
夏の疲れかなと思っていたら、風邪だったという人は案外多いかもしれません。夏の風邪は、冬に引く風邪とは症状や対処法が違うので、特に体力のない小さな子どもには注意が必要です。夏風邪と冬風邪の違いや、夏風邪ならではの症状と、その対策についてご紹介します。

夏風邪と冬風邪は、こんなに違う!
夏風邪とは、一般的に梅雨の時期から夏にかけて流行するウイルス感染症を指します。風邪のウイルスは、低温で乾燥した空気を好むイメージがあるかもしれませんが、それは冬の風邪ウイルスの話です。あまり知られていませんが、夏風邪のウイルスの多くは高温多湿の環境を好みます。そして何より、感染力が強いのが特徴です。
ただえでさえ食欲も体力も落ち気味な夏。屋内外の温度差や、冷たい物の飲み過ぎ、睡眠不足などもあって、免疫力が低下しやすくなります。夏風邪はそんな時にかかりやすく、一度ウイルスに感染するとお腹の中で増殖することが多く、体外に排出されるまでに時間がかかって症状が長引くこともあります。

特別な治療法がない!? 夏風邪の原因ウイルス
つらい夏風邪ですが、実は特効薬や特別な治療法がなく、体力や免疫力をアップして自然に治すほかありません。夏風邪の原因となる主なウイルスには、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルスなどがあり、ウイルスによって引き起こされる症状もさまざまです。
いずれも小さな子どもが感染することが多く、なかには別の病気の原因となるウイルスもあります。夏風邪を引かないためには、ウイルスが侵入するのを防ぐこと、ウイルスに感染しないような生活を送ることが重要です。
原因ウイルス
ウイルスによって症状が違うことに注目!
夏風邪と言えば「プール熱」を思い起こす人が多いかもしれません。高い熱が出やすいこの夏風邪の原因となるのが「アデノウイルス」です。アデノとは扁桃腺やリンパ腺のこと。のどの痛みや発熱、激しい咳などの症状を引き起こします。子どもがプールで感染することが多いことから「プール熱」と呼ばれていますが、プール以外でも感染し、大人でも感染すると扁桃炎や肺炎などを引き起こす場合があります。
そして、子どもの夏風邪の代表が「ヘルパンギーナ」です。突然の発熱のほかに、口内炎や水疱など、口やのどに症状が起きるのが特徴で、主に「コクサッキーウイルス」が原因だと言われています。
もうひとつ子どもの夏風邪を代表するのが「手足口病」です。名前の通り、口の中や手足に水疱ができる病気で、主な原因ウイルスが「エンテロウイルス」です。「エコーウイルス」で起きることもあります。口の中の水疱がつぶれて口内炎ができると水分を摂るのもつらくなるため、脱水症状に注意が必要です。
もしも、夏風邪にかかったら・・・
夏風邪のウイルスに感染した時は、まず安静にして、水分を十分に摂るようにしましょう。睡眠と栄養をとり、体力を消耗しないよう心がけることが回復への近道です。
また、夏風邪は子どもに多いと言っても、大人が感染すると重症化することがあるので油断はできません。咳やくしゃみによる飛沫感染、食べ物や飲み物を通しての経口感染による家庭内での感染拡大を防ぐために丁寧に手洗い・うがいをし、タオルを共有しないように注意しましょう。そして、高温多湿を好むウイルスが活発に活動しないよう、空気をきれいにすることもおすすめします。
特効薬のない夏風邪ですが、感染経路をしっかりと確認して、予防を心がけることが肝心。楽しい夏を過ごせるように、日々の生活習慣を見直すことも大切です。
- 夏の風邪ウイルスは、冬の風邪ウイルスとは違い高温多湿を好む。
- 特効薬がない夏風邪は、体力や免疫力を高めて治すしかない。
- 飛沫感染と経口感染を防ぐために、手洗い・うがいをし、タオルの共有を避ける。
- 夏風邪のウイルスが活発に活動しないように空気をきれいにするのがおすすめ。