ストリーマ研究所 空気のマメ知識 都会の空気は花粉症を悪化させる?
おぼえておきたい手軽にできる花粉対策

あのツライ季節が、またやってくる。暖かくなるにつれて、そんな思いを抱く花粉症の人は多いのではないでしょうか。でも実は、花粉症の症状が現れていない人も無関係な話ではありません。花粉症が起こるメカニズムや、その予防と対策についてご紹介します。

白澤 信行 教授
監修者 白澤 信行 教授
理学・医学博士
東北文化学園大学医療福祉学部
リハビリテーション学科

花粉症を悪化させる物質が都会には多い?

年々増えているように感じるマスク姿の人。実は、2017年3月に行った調査※1では、国民の約2人に1人が花粉症であることがわかっています。特に、都会の花粉症患者が増加しています。

その原因のひとつがアジュバント物質にあります。アジュバント物質とは、花粉に付着することによってアレルギー症状をより悪化させる物質の総称です。都会の空気に多く含まれる排ガスやPM2.5が、そのアジュバント物質だと言われています。アジュバント物質は体内でアレルギーを引き起こす抗体の生成を促進させ、その結果、アレルギー症状を2倍にも悪化させるのです。

※1:
ダイキン工業調べ。医師の診断はないが、症状のある人を含む。

未発症でも油断はできない

これまで花粉症の症状が現れていないから大丈夫、と考えている人も油断は禁物です。アレルギー症状を悪化させるアジュバント物質が花粉に付着することで、抵抗力がもたなくなって花粉症を発症するリスクが高まることがあるからです。

例えるなら、未発症の人は「抵抗力」と「花粉」のバランスがとれているシーソーのようなもの。そこにアジュバント物質が加わることで保たれていたバランスが崩れてしまい、花粉症を発症するといったイメージです。つまり、未発症の人でも、いつ花粉症になるかわからないということです。

花粉症の発症のたとえ

花粉症の発症のたとえイメージ

実は、一年中が花粉症のシーズン?

花粉症というと春にかかりやすいイメージがあるかもしれませんが、これは最も有症者の多いスギ花粉が春先に飛び始めることが影響しています。

しかし実際には、春以外にも多種多様な植物が花粉を飛散させてい ます。たとえば、ヒノキはまだ寒い1月から花粉を飛散させていますし、ブタクサは真夏の8月から秋口にかけて花粉を飛散させています。このように花粉は1年中飛散しているため、年間を通じてケアを行うことが大切です。

なかでも花粉に敏感な人は、ほんの少しの飛散量でも症状が現れてしまうので注意が必要です。下の図のような花粉の種類と飛散する季節を把握して、予防に役立てましょう。

花粉の種類と飛散時期 | ハンノキ:1~6月、スギ:1~5月、ヒノキ科:1~5月、シラカンバ:4~5月、イネ科:3~12月、ブタクサ属:8~10月、ヨモギ属:8~11月、カナムグラ:8~10月

出典:鼻アレルギー診断ガイドライン「通年性鼻炎と花粉症」2002年版(改訂第4版)の内容を元に改変

飛散時期は日本の各地域(北海道、関東、関西、九州)の飛散時期の合計で記載

手軽にできる花粉対策を習慣に

部屋の換気をしたり、洗濯物や布団を干したりすることで、花粉は室内に侵入します。ただ、花粉の侵入経路はそれだけではありません。外出先で衣服や髪に付着した花粉を、そのまま室内へ持ち込んでしまうことがとても多いのです。

室内に花粉を持ち込まないためにも、外出先から帰宅したら必ず、玄関先で衣服や髪に付いた花粉を払い落とす習慣をつけるようにしましょう。室内に入ってしまった花粉は、毎日こまめに掃除をすることで除去できます。

こうした日常のちょっとした工夫によって、花粉症の発症や悪化を防ぐことができます。手軽にできることなので、ぜひ試してみてください。

POINT!

  • 排ガスやPM2.5などのアジュバント物質がアレルギー症状を悪化させる。
  • 未発症の人も「抵抗力」と「花粉」のバランスが崩れると花粉症になる可能性がある。
  • 花粉は1年中飛散しているため、各季節の花粉を把握して予防しましょう。
  • 帰宅時は必ず服や髪についた花粉を払い落とす習慣をつけましょう。