ストリーマ研究所 空気のマメ知識 エアコンの除湿と冷房の違いとは?

夏期に活躍するエアコンの除湿と冷房ですが、それぞれの違いを知らない方も多いのではないでしょうか。

夏を快適に過ごすには、温度だけでなく湿度にも気を配らなければいけません。湿度が高いままだと汗が蒸発しにくく、体内の熱を放出しにくくなります。つまり、同じ気温でも、湿度が高いほど熱中症になる危険性は高まるのです。

温度と湿度の関係性について

温度と湿度には密接な関係があり、その関係はエアコンの冷房や除湿の違いを知るうえでも欠かせません。

一般的に使われる湿度という指数は、「空気が含むことができる水蒸気の最大量に対する水蒸気量の比率(飽和水蒸気量)」を指しています。

飽和水蒸気量は、温度が高くなるほど多くなり、低くなるほど少なくなります。そのため、温度が高い状態から低い状態へと変化した場合、飽和水蒸気量を超えた水蒸気が水として現れるのです。

皆さんも、暖房の効いた室内の窓に水滴が付いているのを一度は見たことがあるのではないでしょうか。それは、室内の空気が窓に触れて冷やされることで起きる現象です。空気中に含むことのできる水蒸気量が減った結果、飽和した水蒸気が結露(水)として現れるのです。

湿度を下げるには、この関係を利用します。まず温度を下げ、室内の飽和水蒸気量を減らします。この時、空気中にためられなくなった水分は結露し水となりますので、この水を取り除きます。その状態で温度を上げることで、空気中の水分の割合が減るため湿度が下がるのです。

冷房と除湿の違いとは?

ご存知の通り、冷房は部屋の「温度」を下げることを目的とした機能で、除湿は部屋の「湿度」を下げることを目的とした機能です。

ここでは、冷房運転と除湿運転の違いについて説明します。

冷房運転

エアコンは、基本的に室内機と室外機を配管で繋げて使用します。その配管には冷媒と呼ばれるガスが入っています。

この冷媒ガスは、室外機に搭載された圧縮機によって配管内を循環しており、熱を運ぶ役割を担っています。

冷房運転は、簡単に言うと室内の熱を室内機の熱交換器に取り込み、その熱を冷媒ガスが室外機に運んで屋外に放出します。これを繰り返すことによって部屋を冷やします。

この時、室内の熱に含まれた水分が冷やされることによって結露水が発生しますが、この水はドレンホースをとおして室外に排出されます。その結果、室内は湿度も下がります。

このように冷房運転は温度とともに湿度も下げますが、一般的なエアコンは設定温度に達すると運転を停止してしまいます。室内の温度に変化がない場合、再び運転することはありません。梅雨の時期など湿気が多い季節であれば、湿度だけが上がってしまうことになるでしょう。

除湿運転

除湿運転も冷房運転と同じ運転ですが、温度だけでなく湿度もウォッチしており、設定温度になっても湿度が高ければ運転を続けます。最近では、除湿の方法もメーカーによって様々であり、それぞれ特徴があります。

除湿機能特徴
弱冷房除湿 湿度を目標値まで下げるために、弱い冷房運転を続ける。
湿度とともに、室温も少し下がる。
再熱除湿 冷やした空気を再度ヒーターで温めなおして部屋に戻す。
室温を下げずに湿度を下げられる。
ハイブリッド除湿 冷やした空気に、室内の空気を混ぜて部屋に戻す。
環境に応じて自動で機能を調節するため、季節を問わず、快適な室温・湿度を実現する。

このように除湿運転は、冷房によって下がってしまう室温を下げすぎないようにする工夫された運転であると言えます。

冷房と除湿のメリット・デメリット

ここでは、冷房と除湿機能のメリットとデメリットを紹介します。

運転モードメリットデメリット
冷房 もっとも効率よく室温を下げることができる。 室温が設定温度に到達すると運転が停止するため、湿度だけが上がってしまうおそれがある。
弱冷房除湿 湿度とともに、室温も少し下げることができる。
消費電力が少ない。
設定温度が外気温より高い場合、冷房運転自体ができないため、除湿も不可。
再熱除湿 室温を保ったまま、湿度のみを下げることができる。 やや電気代が高い。
ハイブリッド除湿 自動で機能を調整するため、年間を通して快適に使用できる。
消費電力が少ない。
本体がやや大きい。
高機能であるため、販売価格が高い傾向にある。

参考:冷房と除湿の電気代の比較(ルームエアコン)

除湿運転と冷房運転を上手に使って快適に!

人間が快適に過ごせる温度は26~28℃、湿度は50%程度といわれています。
つまり、湿度を50%ほどに保っていれば、室温を極端に下げなくても心地よく過ごすことができるということです。

さらに、エアコンの気流を上手に利用することで、冷感をアップさせることもできます。

除湿運転と冷房運転の特徴を押さえて上手に使い分けることで、省エネで心地よい毎日を実現しましょう。